物語を狩る種族(The Story Hunters)

読んだ本の感想を書いているブログです

2014-01-01から1年間の記事一覧

今年読んだ、印象に残った本

年末なのでまとめ的なことを。だいたいは面白かった本です。今年は小説関係の本が多めでした。そして今年発売の本は少ないです。 ウンベルト・エーコ著、和田忠彦訳『エーコの文学講義 小説の森散策』 再読、精読、図解の重要さがよく伝わる一冊。 トーマス…

Neil Gaiman 「Click-clack the Rattlebag」

ニール・ゲイマンの「Click-clack the Rattlebag」を読みました。ニール・ゲイマンはアメリカン・コミック『サンドマン』の原作者で、ファンタジー小説家です。著作としては『スターダスト』とか『コララインとボタンの魔女』とか。と、いうような情報は知っ…

新しいと思ったアイデアがすでに実行されていることの多さって、どれくらいでしょうね?

昔、お風呂に入ったとき、ミステリー作品に関するアイデアを思いついたことがあります。それは全く無関係である事件の被害者たちにある共通点(たとえば、ある新興宗教を示すアイテムとか、パソコンの履歴に残った怪しいサイトとか、それらしく目立つもの)…

アンディ・ウィアー『火星の人』

アンディ・ウィアー著『火星の人』(小野田和子*1訳)を読みました。本国で出版されて話題になっていたとき*2から、お、これはすごく読んでみたいぞ、と思っていたのがようやくです。 あらすじ。NASAの宇宙飛行士マーク・ワトニーが不慮の事故により一人ぼっ…

SFマガジン2014年12月号(R・A・ラファティ生誕100年記念特集)

ラファティ特集が読みどころのSFマガジン2014年12月号を読みました。 ラファティ読んだことないんですけど、私の頭の中の「読んだことない作家ワールド」で妙な存在感があったので今回の特集に飛びつきました。Amazonで即予約です。SFマガジンの700号記念の…

キジ・ジョンスン「26モンキーズ、そして時の裂け目」

今日読んだのは創元海外SF叢書の三冊目、キジ・ジョンスン『霧に橋を架ける』から「26モンキーズ、そして時の裂け目」*1(三角和代訳)です。この著者の作品を読むのは初めてですが、前評判をネットで見かけて面白そうだと思い手に取りました。この短編は世…

『MONKEY vol.4』予約特典の生原稿

10月に入り忙しくなったせいか、本は読むものの中々その記録を書く元気がありません……。いやあ本を読む元気はあるんですけどね。文章がね。なんだか借金をしている気分です。 しかし個人的にテンションが上がる出来事がありました。柴田元幸編集の文芸誌『MO…

チェスタトン「奇妙な足音」

国書刊行会刊、G・K・チェスタトン『アポロンの眼』から、「奇妙な足音」を読みました。 物語は もしもあなたが、あのエリートのクラブ「十二人の本物の漁師」の会員が年に一度のクラブの夕食会に出席しようとヴァーノン・ホテルに入って来るのに出会ったと…

高橋克彦「緋い記憶」

今日はミステリー文学資料館編『ホラーミステリー傑作選 ふるえて眠れない』の高橋克彦著「緋い記憶」を再読しました。この短編集はそのタイトルどおりホラーの傑作ばかりで、いやもう本当に面白いアンソロジーとなっています。筒井康隆、半村良、宮部みゆき…

藤井太洋「常夏の夜」

今日読んだのは、第五十三回日本SF大会なつこん記念アンソロジー『夏色の想像力』の藤井太洋著「常夏の夜」です。この短編が10月にハヤカワ文庫JAで刊行される『楽園追放 rewired サイバーパンクSF傑作選』に収録されると知り、なんとなくその前に読んでおこ…

ジャック・リッチー「エミリーがいない」

今日は『新エドガー賞全集』から「エミリーがいない」(ジャック・リッチー著、山本光伸訳)を読みました。『新エドガー賞全集』は、ハヤカワ文庫から出ていた「アメリカ探偵作家クラブ傑作選」の14巻目であり、1981年から1988年までのアメリカ探偵作家クラ…

ジーン・ウルフ「ソーニャとクレーン・ヴェッスルマンとキティー」

今日は扶桑社から刊行されたアンソロジー『魔法の猫』の「ソーニャとクレーン・ヴェッスルマンとキティー」(ジーン・ウルフ著、柳下毅一郎訳)です。『魔法の猫』はそのタイトルどおり、「猫」がテーマの翻訳もののアンソロジー。 この短編の著者ジーン・ウ…

井上雅彦「抜粋された学級文集への注解」

今日は井上雅彦*1監修の書き下ろしホラーアンソロジー「異形コレクション」の45冊目、『憑依』の井上雅彦著「抜粋された学級文集への注解」を読みました(と言っても再読ですが)。 現在までに50冊近くが刊行されている異形コレクションで、私自身はそのうち…

ルーシャス・シェパード「竜のグリオールに絵を描いた男」

今日は新潮文庫の短編集、ルーシャス・シェパード著『ジャガー・ハンター』の「竜のグリオールに絵を書いた男」(内田昌之訳)を読みました。なぜこの本を読んだのかというと、元々ルーシャス・シェパードという名前だけを知っていて*1、なんとなく読んでみ…

ブログを始めてみたものの

なにぶん初めてなもので……。と心の中で言い訳しつつ恐る恐る手を出して読書感想を書いてみたものの、経験に乏しいのでどういうスタイルで書いていったらいいのか暗中模索な感じです。 やっぱり書きなれている人はそれぞれの「型」ができているんですかね。 …

チェスタトン「三人の黙示録の騎士」

今日読んだのは、ボルヘスの編んだ叢書「バベルの図書館」の一冊、G・K・チェスタトン『アポロンの眼』(国書刊行会刊、訳者は富士川義之)から「三人の黙示録の騎士」です。なぜ題名に「黙示録」が入っているのかよくわかりませんが、実のところそこまで知…

はじめに

ブログ始めました 今日からブログを書くことにしました。 何故そんなことを考えたのか。 第一に本を読むのが好き*1で、その記録をつけたいと思ったため。一冊の本についてあれこれ書くのは結構労力がいる。でも短編ひとつぐらいなら読むのも書くのもそんなに…