今年読んだ、印象に残った本
年末なのでまとめ的なことを。だいたいは面白かった本です。今年は小説関係の本が多めでした。そして今年発売の本は少ないです。
ウンベルト・エーコ著、和田忠彦訳『エーコの文学講義 小説の森散策』
再読、精読、図解の重要さがよく伝わる一冊。
トーマス・C・フォスター著、矢倉尚子訳『大学教授のように小説を読む方法』
大学教授になる予定はありませんが、とにかく面白かった本。ノースロップ・フライの広めた「神話批評・原型批評」の威力がよくわかります。
倉茂好匡著『環境科学を学ぶ学生のための科学的和文作文法入門』
薄くて読みやすい上に内容が素晴らしい一冊。パラグラフライティングの入門書として最適です。
高野誠鮮著『ローマ法王に米を食べさせた男』
著者のエネルギッシュさに脱帽。勇気をもらえる一冊。
テン・ブックス編『いま、世界で読まれている105冊 2013』
ブックガイド大好き人間なので*1、企画それ自体が嬉しい一冊。未邦訳の本を紹介しているので日本語で読むことはできませんが、紹介文を読むだけでも楽しめます。英語が得意な人なら、紹介されている本のうち24冊は読むことが可能。個人的には『ニシンの缶詰の謎』『女になる方法』『おしえて、偉い人!』『新・アメリカ文学史』が気になりました。
アルカジイ&ボリス・ストルガツキー著、『ストーカー』
中古だと高くて手が出しづらかったので、復刊してくれて大助かりでした。いまさらながら、「DARKER THAN BLACK」というアニメの元ネタの一つということに気付きました。
山岸真編『SFマガジン700【海外篇】』
テッド・チャンの「息吹」が素晴らしかったです。それ以外にも有名なSF作家の読んだことのない作品が目白押しで良かったです。シェクリイの作品は既訳で読んだことありますが。
ウラジーミル・ソローキン著、亀山郁夫訳『愛』
一生に一度でいいから読んでみたいと思っていたので読めて大満足の一冊。「樫の実峡谷」は映像で見てみたいです。多分かなりシュール。『ロマン』も読んでみたいと思いました。
ジェイムズ・パウエル著、森英俊訳『道化の町』
すばらしい。「魔法の国の盗人」「アルトドルフ症候群」「死の不審番」はミステリ色が強めでよかったです。
シオドア・スタージョン著、 『一角獣・多角獣』
今年ははじめてスタージョンを読みました。というかSFを読むようになったのが大学入学以降なので、まだまだ作品を読んだことない作家が沢山いて嬉しい限りです。「熊人形」「孤独の円盤」「考え方」がお気に入り。
シオドア・スタージョン著、大村美根子訳『時間のかかる彫刻』
「ここに、そしてイーゼルに」がすごく好みでした。いやほんとうに凄かった。
法月綸太郎著『ノックス・マシン』
評論を物語に組み込んだようなお話が好みに合いました。推理小説における著者の評論活動の成果をSF的発想に活かした作品群といってもいいかも。
牧野修著『忌まわしい匣』
「おもひで女」が読みたくて。
アヴラム・デイヴィッドスン著、殊能将之編『どんがらがん』
「さあ、みんなで眠ろう」「尾をつながれた王族」「パシャルーニー大尉」「ナイルの水源」が特に好みでしたが、ほとんど全部面白かったです。有名な「ゴーレム」「さもなくば海は牡蠣でいっぱいに」(「あるいは牡蠣でいっぱいの海」)も収録。
*1:ブックガイド目当てでいろんな雑誌を買ったりしています