福澤徹三『忌談 終』
福澤徹三さんの『忌談 終』を読みました。飛行機に乗る機会がありまして、そんなときは角川ホラー文庫の新刊を一冊買うことにしているのです。これは著者の集めた怖い話が35編収められている本。ここ最近読んだ怪談蒐集系の本では一番面白かったかも。以下、お話ごとの一言感想。
「侵入者の痕跡」気のせいとか偶然で済ませられる話ですが、不気味な感じが残ります。
「血縁」そこまで身内を怖がるかなーと思ったけれど、身内だからこそ、もありますかね。
「入れ喰い」釣った魚を開いてそんなもんが出てきたら気持ち悪いですけど、特に不思議でもなんでもない話。
「ハンドキャリー」えぐい話。
「虫二題」大した話ではない。でも回転ずしで寄生虫にあたるのは嫌ですね。
「夢のなかでの会話」夢には神秘的なところがあるので、こういう話は好み。
「妊婦の消息」気味の悪い話。あるいは気色の悪い話。
「来客のメモ」メモに書かれた名前がわかればもっと面白かったんですけど。
「霊感のある女」ストレートな幽霊譚。
「レザージャケット」気にしたら負け、とはいえどうにも気持ちの悪いことはあるという話。安かろう悪かろうですね。
「泥音」ありきたり、というかどっかのホラードラマで見たような話。映像ではインパクトありそうです。
「早朝の違和感」不安の種感。
「心霊写真」写真屋さんすごい。
「百円ショップ」バックヤードに出る幽霊。ありきたりな話という気もします。
「窓ではない窓」不可解で不気味。面白い。
「映画館の声」変な現象の起きる映画館。これもホラーとしては地味。
「半径100メートル」不気味な事件に誘発されたかのように治安が悪くなるという話。面白い。
「縊死体のポケット」不思議な話。木の下にこぼしていたスナック菓子がポケットから出てくるというのはマジックめいていて面白い。
「十二羽」誰かのいたずらかもしれない。それでも実際に目にすると恐ろしいかも。
「輪郭」感覚に生じた異変の話。面白い。
「シンクロニシティ」前の話と関連。いわくがあるというだけの話で、あまり怖くない感じ。
「まちがった」一体なにを間違ったのか不気味です。面白い。
「瓜二つの女」クラブの人たちと口裏合わせていたんでしょうか?
「三兄弟の家」人形の毛を躊躇なく剃るOくんも不気味です。
「奇縁」不思議な縁についての話。喜ばしいのかどうなのか。
「猫バス」ひどいものだが笑える話。
「ルームメイト」浮気して刃物沙汰。人間が怖いという話。
「茶色い絨毯」ゴキブリの話。恐ろしい……。
「同居人」不思議といえば不思議ですが、記憶違いの可能性も。
「夫の悪癖」変な生き物が出てくる話。面白い。
「ヒトカラの女」いわゆるメンヘラの話。恐ろしい。
「自殺の理由」自分が不可解な自殺を遂げようとしているのに気付く、という話。面白い。
「古井戸」不気味な話。見つかったものは何だったのか。面白い。
「静かなアパート」知らなかった……。
「戦友」誰かに引きずられたが、それを分隊長だと勘違いしていたのかも。でも良い話。